私のお父さん。
私は、父に怒鳴られたり怒られたり責められたりすると怖くて頭が真っ白になってしまって身動き取れなくなってしまうから、なるべくそうならないようにしていた。
具体的には、関わる時間を短くする。
機嫌を損なわないように言葉を選んで喋る。
悩みがあったり、勉強でつまづいても、相談したら結局は叱られて終わり。
だから相談もしなくなった。
人が怖くなって、軽く登校拒否したこともあった。
熱もないのに学校を休んだ私に、父は「自殺すんなよ(笑)」といって仕事に出た。
ほんとにしてやろうか。
黙って出てってやろうか。
高校受験を控えて、ネガティブになってると思われてた。
どうにかして、復讐してやりたいと思う気持ちもあった。
社会人になってからは割愛するけど、それはそれは父絡みで苦しい思いもした。
このクソ親父!と本人に言えたらどんな気持ちだろう。結局、それは叶わないまま父は数年前に他界した。
病気だったからどんどん衰えていってしまったのだが、
怒らせたら怖い、
怒鳴ったら恐ろしい、
若い時の父のイメージが私には残ったまま。
車の整備士をしていた父は、管理職につくまではひたすら最前線だった。
いつも作業着で、手にはオイルが染み込んでて爪も黒かった。
骨太で、日に焼けて、健康的な父だったが病気してからは痩せて色白になり、私よりも体重が落ちた。
オイルの臭いと真っ黒な爪、
キライじゃなかったよ。
最期のとき、しっかり手を握ったのは母でなく、私と弟。
あんなに怖くて目も見れなかった父の顔を、しっかり目に焼き付けるように見つめたのは何年ぶりなんだろう。
ただただ、悲しかった。
怒鳴られるのは恐怖でしかないんだけど、それでももう怒鳴り声を聞けないと思うと寂しくもある。
反抗しながらも、ちゃんと父として尊敬していたし、ちゃんと好きだったよ。
父は、私の父だけあって人一倍怖がりで、臆病で、小心者でした。
だけど、お調子者で人気者だった父はたくさんの人に囲まれて見送られた。
本当に幸せ者だな、と思う。
父が怖くて言えなかったこと、隠してたこともたくさんあるけど、父も同じように病気のことはギリギリまで家族以外に悟られまいと振舞っていた。
そんな父に、水臭いと思っていたけれど、
同じように父のことで弱ってる私を外部に悟られないようにしていた私も、人から水臭いと言われた。
似たもの同士だな。
私は、怒鳴ったり怒ったり平手打ちしてくる父が怖いし憎いと思っていたけど、
それでも本当に嫌われたくない、と思っていたから、父を避けたりして、余計なことをしないようにしてた。
本当は大好きだよ。
でも、怖かった。
未だに、父の影を怖がるわたし。
父はもういないから、と、好きなようにやってみたけど、やはり母に心配や迷惑をかけてしまったことがあり、
母に、「もうやめなさい。お父さんもそう言うと思う」って言われるのが最近のブーム(笑)になってるのだが、そのセリフに弱い。
母、ずるいわ。
お父さんの威を借りるなんてずるいわ。
そう言うと私が諦める/納得すると思ってさ。
そのセリフに動じなくなったときって、
父の怒鳴り声を愛しく感じるときなのかな。
そんな時が来て欲しいような、欲しくないような。
今日、旦那のことや旦那の両親のことでイライラモヤモヤして、父のことを思い出したことで父の怖いイメージが少し和らいだというか、
どんなに怒られても責められても大丈夫
ってことがぼんやり分かった感じ。
怒られて泣いてる私の記憶よりももっともっとたくさん、父に遊んでもらったり釣りにでかけたりしたことを覚えてるからね。